白い紙に墨1色で描かれた図形。回転が始まると墨色に描かれたラインに色が付いていきます。やや濁って見えますが、時計回りに回すと外側は赤色、真ん中は緑色、内側には青色が付きます。時計回りと逆にしますと、外側は青色に内側は赤色になります。回転が緩やかになっても色は見え続けます。
これは、ぼくの写真製版の師匠・平野武利さんが実際に作ったものです。下の箱の中には滑らかな回転をする工夫が隠されていました。19世紀にイギリスでおもちゃのコマとして販売されました。このようなシンプルなおもちゃもたのしいです。色がなぜ見えるのかが、まだわかっていなことがたのしさを広げてくれます。このコマを目を輝かせて見ているイギリスの子どもたちの顔と、平野さんの顔が重なりました。視覚上の驚きと発見を大切にしていた人でした。(2021年11月)