朝日新聞の天声人語に、今年1月に亡くなったろう者劇団の代表米内山(よないやま)明宏さんのことが書かれていました。
米内山さんは子ども時代に、手話はみっともないと叱られ、使い慣れていた手話を禁じられ、口の形をまねて声を出すことを強要されていたそうです。
しかし自分の出す声は自分には聞こえず、声を聞いた人に笑われることもあり、小学5年の時から声を出すことを頑なに拒み続けました。
米内山さんは手話を続け、手話で演じる劇団を立ち上げ、手話の魅力を説き続けました。
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ホームページを見てくださっている方から、『TOKYO人権」97号に掲載されている米内山さんのインタビュー記事に関してメールをいただきました。私の方が十分読んでいませんでしたので、たいへんありがたいメールでした。
米内山さんの活動を知る上で、貴重な内容のたくさん盛り込まれた記事となっています。(7月31日)
右の『TOKYO人権」97号の画像をクリックしますと記事にリンクします。
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点字を考案したルイ・ブライユも、同じ経験をしています。ルイが作った点字の本を読むことを盲学院の校長先生が禁止し、点字の本を燃やされてしまいました。
禁止の理由は、点字で書かれたものは健常者には意味がわからず、健常者とのコミュニケーションが取れない人間になってしまうということからでした。
現在、点字が拒まれることはありません。またいろいろな商品や、駅の切符売り場や階段の手すりなど、点字を使った表示は広がっています。しかし私たちは、その点字に対して無関心であり、自分たちから近づこうとはしないことがほとんどです・・・
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昨年Eテレの福祉番組で、高橋鴻介さんという若いデザイナーが作った点字フォントのことを知りました。6つの点の並びを、ひらがなとカタカナ、そして数字とアルファベットに、巧みに重ねて作られています。フォント名は「ブレイユノイエ」(ブレイユは英語で点字を意味し、ノイエはドイツ語で新しいを意味しています)。
画像をクリックしますと記事に入ります(キャリアハックに)
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番組の参加者からは、「新しい文字」「ぜひ覚えたい」との声が上がっていました。ぼくも同じ思いを持ちました。
高橋さんが点字フォントを開発するきっかけになったのは、仕事で知り合った視覚障がい者から「高橋君も点字が読めると暗闇でも本が読めるよ」と言われ、点字はすごく面白い未来の文字と思ったからと、話していました。そこに面白さを感じ取る感性と、柔らかな発想が大切なのでしょう。
この「ブレイユノイエ」は、無料で使うことができるフォントです。いつか街で出会いたいと思っています。(2023年7月)