この教科書を自然をモチーフにした詩画集と感じました。詩的なモノクロームの写真と、ケヤキ(欅)の写真が繰り返し使われています。
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みやぎ教育文化研究センターの日記・ブログには、この教科書が生まれた誕生秘話が載っています。
子どもたちへの熱い想いと、その熱意を教科書の形にしていった緊張感が伝わってきます。現在の教科書作りに、このような熱意はどこまであるのでしょうか?
教科書としてだけではなく、多くの人に読んでもらいたい内容です。
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このブログでも紹介されている1年生と2年生の教科書の最終ページに書かれている詩を読んでいると、宮沢賢治の『グスコーブドリの伝記』を思い出しました。
右の絵は、鈴木義治さんが描いた一人火山島に残ったブドリ。自然と闘いながら共存してきたブドリの最後を、義治さんは穏やか顔として描きました。
この教科書に鈴木義治さんが挿絵を付けていたならばどうなっていたでしょう。イメージするだけでも、豊かな気持ちになってきます。
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しかし残念ながら、この教科書は発行部数(採用数)が極めて少なかったようで、手にすることは至難になっています。
教科書としてではなく、持ち歩くことのできるコンパクトなサイズで新たな形で出版を夢見ています。カバンにそっと入れておきたい本です。(2022年11月)