1936年にロシアの作曲家プロコフィエフが、子どもたちのために物語を作り作曲もした楽曲。解説が入り、登場する人物や動物を楽器で表現する楽しい曲です。ピーターは弦楽器、狼は3本のホルンで表現されます。これから紹介する絵は、ドイツで作られた絵本『ピーターと狼』です。墨インキがしっかり盛られたオフセット印刷で作られています。

線がとても美しいです。木版でしょうか
イラスト:Frans Haacken
左上の絵は、後に買った羽の入っていない絵本です
PARABEL 出版社 刊

 最初に買った本には、驚いたことに本当の鳥の羽が印刷されていました。狼に飲み込まれてしまったアヒルの羽? ↓注目

 印刷前の用紙に羽が混入していたのでしょうか?

 まさかと思いますが、ユーモアのあるドイツの印刷職人が、この物語に合わせ、そっと差しはさんだのでしょうか?それとも印刷工場の中を、鳥が飛びまわっていたのでしょうか?想像していると楽しくなります。

 しかし、これが化粧品のパッケージや、教科書だったらどうだったでしょう。以前、パッケージ印刷の仕事を短期間ですが手伝ったことがあります。髪の毛一本でも落ちると大事になるようでした。印刷工場の出入り口には、虫よけ対策もしていました。この絵本も、クレーム対象になるのかもしれません。それでも版画が生み出す偶然性は、版画の兄弟であるオフセット印刷にもあることを思い出させてくれました。(2022年7月)