続いては、インターネットで「鈴木義治」さんを検索する中で、出会った〈森のおと〉というサイトです。2019年に掲載された「先生、肌色がありません!」で始まる秋田県能代市にある絵の教室からの話です。

 サイトには「自然光の下でしっかり絵を描いていた時代の人達って、やはりすごい。」と書かれています。短い文章の中に、絵についてのエッセンスが込められた魅力あるサイトと思いました。

 四人目は松永悠一朗さんです。2007年3月の新聞の文化欄の絵を見て作品展に行きました。

2007年3月8日朝日新聞の「美・博ピックアップ」(文化欄)から

 ホームページ の〈灯そう好奇心〉の「文字の方からやってくるⅠ」にも書いていますが、新聞や本を見ていると、周辺がぼやけ、ある文字や絵・写真だけが浮かび上って目に入ってくることがあります。松永さんのこの絵もそうでした。縦3.5センチ横3センチの小さな図版ですが、強く印象に残りました。

 作品展で、松永さんと話をする機会があり、松永さんが鈴木義治さんの絵が好きなことを知りました。特に草花の表現に魅かれると言っていました。松永さんの作品集『日々のかけら』(つばめブックス・2010年刊)には、草花が多く描かれており、どこか義治さんの絵と通じるところがあります。

『日々のかけら』の本文と箱
一枚の大きなプリントから作られています

 松永さんの絵は、福音館書店の月刊絵本『こどものとも0.1.2.』の291号(2019年6月)で、独特な草花と生き物たちのかわいらしい〝かくれんぼ〟の絵本として出版されています。鈴木義治さんも〈小さな世界〉を愛でていました。小さなものに宿る何かに魅せられていた二人の画家と思います。(2022年4月)

福音館書店『ちいさなかくれんぼ』