2014年、ある大学の児童文学研究の講座で話しをした時の資料です。生き生きと語る社会人の姿を見せとほしいと言われており、仕事である印刷・製版とは別に、ぼくの好きな絵本画家の話を入れることにしました。大勢の前で話をすることには慣れていませんので、紙しばい屋さんのつもりで紙しばい(スライド)を作り進めました

※BGMが流れます(音楽はMusMusよりお借りしました。曲名「子供部屋の夢」)

 ぼくは、小学生の終わりに読んだ『コタンの口笛』(作:石森延男・1957年 東都書房)が、長く心に残っていました。そのさし絵を描いていたのが鈴木義治さんです。 『コタンの口笛』 のさし絵は、硬質な少し大人じみた絵でしたが、鈴木義治さんの名を児童書でいつも探していたような気がします。毎回、画風が変わっていることも特徴的でした。児童書であるにもかかわらず、子どもの笑顔を描いたものは少なく、どちらかというと苦渋でゆがんだ顔が多かったように思います。原作のせいもありますが、ぼくはそこに魅力を感じていました。現在は、このような顔を児童書で見ることが少ないと思います。

 授業の最後に、鈴木義治さんの描く顔、絵に対する感想(コメント)を聞かせてもらいたいと話しました。後日、56枚のコメントが出席票の裏に書かれて送られてきました。先生が配慮してくれたようで、たいへんうれしかったです。(2021年12月)