点字は記号とばかり思っており、点字は誰が発明したものなのか考えることがありませんでした。
NHK Eテレで点字の特集番組がありました。そこで参加していた人に、「点字を発明した人は?」と質問する場面があり、ひとりの少年が手を挙げ「ルイ・ブライユです。学校で教わりました」と答えていました。
早速、地元の図書館の児童書のコーナーに行ってみると、点字の本が何冊もあることを知りました。ルイ・ブライユに関する本もありました。
点字の本を何冊か借り、読んでいると目の見えないことと同じように、文字を読めないことそして書けないことは、視覚障がい者にはつらく悲しいことであることがわかってきました。点字は記号ではなく、視覚障がい者にとって「文字」そのものであることを知りました。
*今回は国土社の〝手で読む心でさわる〟『やさしい点字』シリーズから図版を転用させてもらっています。見開き単位で簡潔にまとめられたすばらしい本でした。汐分社の本も何冊も読みましたが、同じようにすばらしい本でした。
『やさしい点字』シリーズ は厚い紙の本でしたが、それが安心感にもなります。また、丁寧にふられたルビが誌面をにぎやかにしているようで、読んでいて元気が出て来るようでした。現在の児童書の質の高さをあらためて知るよい機会にもなりました。
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フランス人のルイは、15歳の時に今の点字の原型となる6つの点で表記する方法を考案した人でした。
ルイは1809年1月4日に馬具職人の家に生まれましたが、3歳の時に仕事場で遊んでいて目に怪我をし5歳で失明しています。しかし、賢い子でしたのでパリの盲学校で学ぶことになりました。当時の盲学校で使われていた文字は、文字の形をそのまま凸状にしたもので、指先で読むのが大変難しく、書くことはできないものでした。
ある時盲学校に元軍人のシャルル・バルビエが訪れてきました。そして戦場で兵士が暗い中でも連絡できるように作られた「夜間文字」(ソノグラフィ)を紹介していきました。それは12個の凸点を2列に並べて作られており、従来までの凸状の文字を読むよりはるかに読みやすく、盲学校の生徒たちは夢中になってこの文字を学びました。しかし、12個の点は子どもの指先では一度に触ることができず、また点の並びの規則を覚えるのも難しく、子どもたちは苦労していました。
その中で、12個を6個に改良し、規則もシンプルにして、今の点字の原型を作ったのがルイ・ブライユでした。
まさに視覚障がい者のアルファベットを作ったのでした。
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日本の点字も、この6個の点字の考え方をベースにしながら、〝かな〟に置き換え作られています。
前回紹介したゆきやなぎれいさんの詩集『うたをうたってあげたい』は、かなと漢字で書かれています。しかし、れいさんの手元には、何度も打ち直した点字の詩稿があったことでしょう。点字のことを知れば知るほど、点字が愛おしい文字に感じるようになりました。
そして文字は何のためにあるのか、点字にふれながら考えるたいへんよい機会になりました。(2023年3月)