写真レタッチのことを画像処理と言うようになったのはいつ頃からでしょうか。

 1990年頃からイスラエルのワークステーションをはじめ、いろいろなデジタル処理のソフトを使ってきました。それでも自分の中では、「洗う」「なじませる」「自然に」と、アナログ的なレタッチ感覚を意識していました。

モジリアニからピカソの絵に変身する終盤の画面
こちらの画面をクリックしてもつながります(最初にCMが少し入ります)

 「画像処理」という言葉を意識したのは、映像の「Woman in Art」を見た時でした。既に1500万回以上の視聴を記録し、この映像に感化されて新しい映像も作られています。ぼくは、この映像を見た時、鳥肌が立ちました。一番驚いたのは目の動きでした。絵画の目がずっと追従していく3分弱の映像に感動しました。この感動を、携わっていた製版技術の何かのヒントにならないか、そう考えるようになり「画像処理」という言葉を使うようになりました。映像(動画)と静止画は別のものですが、共通するポイントがあるように思いました。ひとつは「目」の表情を大切にしたところではないかと思います。

 いつかぼくもこのような映像を作ることができればと考えています。そのためには、たくさんの画集を見ていくこと、絵の目を見ていくことと思っています。(2021年12月)