パソコンで絵の色調整をしている時に、画像を拡大してはっとすることがあります。

 肉眼で見ているだけでは、気付かなかったかもしれません。デジタル化されたからこその、良さと思いました。

 画家が胡粉や金粉を筆に付け、丁寧に描いていく姿が見えてくるようでした。

 画家は拡大して描いているわけではなく、肉眼で見た目で画像を調整すれば十分かもしれません。それでも、その色の奥にある、画家が描きたかったもうひとつの色を知ることは無駄なことではないと思います。胡粉も金粉も、一般的な印刷のインキでは再現できない色ですが、少しでもこの素材を感じる努力はしていきたいところです。

 胡粉も金粉も、光の当たる角度によって〝チリチリ〟とした刺激が目に入ってきます。この刺激をシャープネスで補ってみました。また、 〝チリチリ〟 をより絵に感じるよう、周囲の紙の素材はわずかに暈(ぼか)しました。

 しかし、「絵に作為を入れ過ぎ」と言う人もいます。このような時は、野村広太郎さんの語った「第二芸術を思い出し、無心な心で作業するようにしています。

アドビ社のPhotoShopの画面(他のソフトでも同様な処理は可能)

 現在原画とパソコンの画面を見ながら、この絵を描いた画家の絵と格闘(色調整)を行っています。

 この人は絵以外にもすばらしい詩や文章を多く残しています。ぼくと同じ年に生まれた方でしたが、2014年に亡くなりました。いつかホームページ上でゆっくり紹介したいと考えています。(2022年12月)