『みつばち』(至光社/1973年刊)

 こちらを向いてホバーリングしているみつばちの表紙。みつばちとの〝にらめっこ〟、目が離せなくなりました。

 本文を読めば読むほど、絵を見れば見るほど引き込まれていきました。

 谷川俊太郎さんの訳もこの絵本の魅力です。「訳者あとがき」の文章に共感。その文章を紹介(転用)します。

 

 この絵本は、早稲田の古本屋さんで購入。当時、早稲田の古書店街はかなり遅くまでやっているお店が多くありました。わずかな時間でしたが、夜間の授業が終わった後も本を探す楽しみがありました。その時に出会った1冊でした。

 絵はコレット・ポータルさん。1936年生まれのフランスの画家。この絵本の初版は1967年アメリカで出版されています。コレット・ポータルさん31歳の作品です。

 谷川俊太郎さんも書いていますが、ご主人はベルギー出身の画家のジャン・ミシェル・フォロン(1934年~2005年)さんです。ぼくもホームページ〈タルコフスキーの2冊①〉でもフォロンさんを紹介しています。

 この絵本も、武市八十雄さんが『あおくんときいろちゃん』のように、アメリカから持ち帰った絵本だったのでしょうか。そうでなくてもこの絵本を出版した、武市さんの感性と眼力(がんりき)に拍手です。

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 本文から2枚転用します。表紙をはじめ、ほとんどの絵に太陽が描かれています。太陽の色の変化が美しい絵本でした。

赤い太陽
巣箱の中から見た太陽

 〝みつばち〟で、もうひとつ思い出すのが、映画『ミツバチのささやき』です。

インターネット上で見付けたポスター

 スペインの名匠ビクトル・エリセ監督の作品。日本での公開は1985年でした。

 スペイン内戦により分断された夫婦と若き後妻それぞれが抱える苦しみや、その状況下でも純真さを保ちつつ成長してゆく子どもたちの姿を、詩情豊かに描いています。子役のアナ・トレントが名演。

 予告編がYoutubeにアップされていました。ポスターをクリックするとその予告編が始まります(1分51秒)。

 

 このページを書き始めた1月6日、夕刊に『ミツバチと私」という映画の紹介がありました(朝日新聞)。

 偶然に驚きました。

 この映画を撮ったエスティバリス・ウレソラ・ソラグレン監督も、ビクトル・エリセ監督と同じバスク地方の出身。

 写真をクリックすると映画『ミツバチと私』のオフィシャルページにつながり、予告編を見ることができます(1分35秒)。  

 オフィシャルページには、トランスジェンダーというテーマだけでなく、母、祖母ら3世代の視点を交えて、「家族との関係が、自分探しの旅にどう影響するのかを探りたかった」と、ソラグレン監督は語っています。

 光溢れる予告編です。

〝みつばち〟の不思議な魅力。

 立春が過ぎると、みつばちの活動が始まります。(2024年1月)