ある古本屋さんから購入(2012年2月)
他に茂田井さんの名刺・茂田井さんの葬儀通知葉書もあります
この葉書を送ったお相手は茂田井さんと同じ挿絵画家でした

〝 お便りがおくれて済みませんでした お忙しいなかを先日はわざわざ御いで下さり 珍しい果実類たくさんいただき歓んでいただいているうち 続いて前々日高価な薬品小包便にて頂戴いたし お礼の申し上げようもありませんが 御厚情の程身にしみて有難く思います また御兄上様には大へんな御手間や御心配をおかけしてしまい 恐縮次第もありません 現在使用しておりますものばかり早速重宝いたします

 しかし どうかもうこれ以上の御配慮給わらず 結構すぎて困ってしまいます ゆえ どうか御放念の程おねがい申します 近いうちに女房が一寸ゴアイサツに伺うと申しておりますが いつかよくわかりません ゆえ放っておいて下さいますよう、奥さま、御兄上様夫婦には どうぞくれぐれも宜しくおねがいします 〟

 文字から人柄が滲み出ているようです。この葉書を見ながら文字を起こしていると、感無量の気持ちになりました。この慎みの深さはどこから来るのでしょうか。(6月26日)

「童画界には初山滋 武井武雄氏らの長老が・・・」に続き8人が紹介されています
上段左から:中尾彰さん・藤沢典明さん・由良玲吉さん・安泰さん
下段左から:斎藤長三さん・黒崎義介さん・秋岡芳夫さん・茂田井武さん
この時茂田井さんは43歳でした

 1950年代の童画家の写真を、『アサヒグラフ』(1951年4月11日号)に見付けました。8名の童画家が写っています。皆さんご自分の仕事場(画室)での写真ですが、茂田井さんだけが喫茶室をインタビューの場にされています。〝私は職人です〟〝仕事場はお見せするようなところではありません〟、このような声が聞こえて来ます。それにしても優しい笑顔です。(2022年7月)