教室で配布した絵葉書サイズのカード
絵本からテキスト(文章)を書き出し発表

 小野千世さんの絵本「かわ」から文章だけを抜き出し、教室で発表しました。しかし、ホームページ上でその文字組を再現するのは難しく、画像にして小野さんの添削(赤字)と合わせて掲載しました。読みづらいと思いますが、まず、活字の地の文字を読んでみてください。その後で、あらためて小野さんの手描きの赤い文字を追ってもらうとわかりやすいです。

 赤字から、小野さんの文章教室に参加している人への、優しい心と配慮が伝わってきます。ぼくなりに、難しくならないように書いているのですが・・・やはり技術者の奢りが残っているのでしょう。指摘してもらえることに、いつも感謝しています。

 小野さんから、「この絵本の川は、石神井川です」との話がありました。一時期、お父様(近藤禮さん)やご家族で住まわれていた練馬区南大泉が背景になっているようです。石神井川は、小金井カントリーの湧水を源流とする小さな流れのように思っていましたが、氾濫をいく度も起こす荒々しい川であることが調べていくとわかってきました。(2022年6月9日)

 〝川の氾濫〟で思い出す人があります。仙葉二郎さんです。ある会社でご一緒した大先輩です。

 仙葉さんから、「川が氾濫した時、頭に服をのせ、部下のところに助けに行った。それが上司の部下に対する行動だと思う」と、話していたことを思い出しました。仙葉さんの自宅も、小野さんと同じ南大泉でした。もしかすると、石神井川のことだったかもしれません。小石川の共同印刷から来られた方でした。

 ご一緒した当初は、印刷工場内の掃除をやりながら、ひとり一人に声を掛けていったようです。仙葉さんは、昭和53年(1978年)共同印刷の時代に野間賞を受賞されています。平成9年(1997年)に70歳で亡くなりましたが、もっと話を聞きたかった人でした。葬儀には、工場からバスで多くの人たちが来ていました。工場の皆から慕われていた人でした。(2022年6月11日)

※野間賞:出版文化の進歩発展に寄与することを目的に、昭和28年(1953年)に創設。50年経過した平成15年(2003年)に、賞の役割はやり終えたと終了。対象は、印刷工業、印刷業界、製本文化、出版取次業、製紙業界で進歩発展に寄与した者、または書店従業員で業界発展に貢献した者と、すそ野の広い人を対象にしていた。