いつも使っている文字(言葉)は、文字の方から目に飛び込んで来るようです。ぼくは職業柄「印刷」「製版」「用紙」「製本」「装丁」などが、頭から離れることがありませんでした。新刊書店でも古本屋さんでも、無意識にこの文字を目は追っており、本の方からも「ここです」と言っているようです。新聞を読んでいる時にも、ぼくの目はこれらの文字をすぐに見つけます。最近、目に飛び込んで来た記事です。
朝日新聞の天声人語(2021年10月31日)と、同紙の文化欄(2021年12月28日)。
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「天声人語」に書かれているユポ用紙を使った印刷では、いろいろなテストをしたことを思い出します。「天声人語」の下には、選挙の時に送られてきた封筒も載せました。右下には点字も印刷されていました。発泡インキで印刷したのでしょうか。知らない用紙・印刷技法・装丁など、まだまだたくさんあることがうれしいです。
「群星訃」の3名のブックデザイナー(装丁家)が書かれた本はそれぞれ1冊ずつ読んでいます。桂川潤さんの『本は物である』(新曜社・2010年)が特に心に残っています。
キリスト教新聞には桂川さんの訃報が出ています。その記事には「本とこラジオ」というラジオ番組が貼られていて、生前の桂川さんのお話を聞くことができます(アーカイヴからも視聴できます)。1時間50分の長い番組ですが、42分ごろから桂川さんが電話で登場し、50分近く話をしています。1993年に精興社に見習いで入り、活版~電算(写植)~DTPと組版の変遷を見てきた話は大変興味深く聞きました。ぼくも同世代でした。大変残念ですが、今年の7月に62歳でお亡くなりになりました。ラジオの音声には、本に対する桂川さんの愛情が声で残っています。(2021年12月)